過去のダイナミクスと制御研究会

第39回ダイナミクスと制御研究会

日時:2019年9月9日(月)14時00分〜15時00分
場所:M4棟-101室
講師:Frederic Libersat先生:Dept. of Life Sciences and Zlotowski Center for Neurosciences,Ben Gurion University
題名:Neuroparasitology: Parasites that turn hosts into mindless zombies
概要:Neuro-parasitology is an emerging branch of science that deals with parasites that control the nervous system of the host. The ability of parasites to alter the behavior of their hosts has recently generated an unusual interest in both scientists and non-scientists. Although the alteration of host behavior by parasites is a widespread phenomenon, underlying mechanisms are only beginning to be deciphered.  The most fascinating examples of behavioral manipulation are seen in arthropods parasitized by various species of parasitoid wasps. These wasps manufacture venoms to manipulate the host nervous system in ways that are tailored to the developmental needs of their offspring. After a brief introductory survey of the most fascinating behavioral manipulation, I will dwell on our model system: the cockroach wasp parasitic association. The parasitoid jewel wasp hunts cockroaches to serve as a live food supply for its offspring. The wasp stings the cockroach in the head and delivers a venom cocktail directly inside the prey’s cerebral ganglia to apparently hijack its decision making process. Although not paralyzed, the stung cockroach becomes a living yet docile ‘zombie’ incapable of self-initiating walking or escape running. We hypothesized that this prolonged action results from venom-induced changes in brain neurochemistry. We have identified molecular targets of the venom which bind to synaptic proteins and likely interfere with both pre- and postsynaptic processes. Our findings indicate that numerous proteins are differentially expressed in cerebral ganglia of stung cockroaches, many of which are involved in signal transduction, such as the Rho GTPase pathway, which is implicated in synaptic plasticity. Altogether, our data suggest that the Jewel wasp commandeers cockroach behavior through molecular cross-talk between venom components and molecular targets in the cockroach central nervous system, leading to broad-based alteration of synaptic efficacy and behavioral changes that promote successful development of wasp progeny.

第38回ダイナミクスと制御研究会

日時:2019年7月5日(金)10時30分〜12時00分
場所:M4棟-105室
講師:郡司芽久先生:国立科学博物館 日本学術振興会特別研究員PD
題名:巨大生物キリンに学ぶ,巨大な物体の支え方・動かし方
概要:生き物を解剖し,筋肉や骨格の構造を明らかにすることは,その動物の体の動きの仕組みを理解する上で非常に重要である.特に,陸上で生活する大型の動物は,重力に対抗して巨大な体を支える必要があるため,効率よく体を動かす仕組みだけでなく,一定の姿勢を効率的に維持する仕組みももつことが知られている.巨大な陸上動物の体の構造を調べることは,運動メカニズムだけでなく,生物の進化の過程で獲得された「自然界における自重補償メカニ ズム」を理解することにも繋がる.本講演では,キリンの首の筋肉や骨格の構造を中心に,巨大生物の体の中に存在するメカニカルな構造とその意味について,ご紹介したい.

第37回ダイナミクスと制御研究会

日時:2019年1月18日(金)10時30分~12時00分
場所:M4棟-1F講義室
講師:佐倉緑先生(神戸大学大学院理学研究科生物学専攻 )
題名:昆虫の経路積算に基づくナビゲーションとそのメカニズム

第36回ダイナミクスと制御研究会

日時:2019年1月11日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:藤岡慧明先生(同志社大学 研究開発推進機構)
題名:コウモリの超音波ナビゲーション・アルゴリズム ~野生コウモリから生きるための戦略に学ぶ~

第35回ダイナミクスと制御研究会

日時:2018年2月2日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:金子修先生(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報理工学域 機械知能システム学専攻)
題名:データ駆動制御―入門から最新の話題まで
概要:制御器を設計するために,制御しようとする対象の動特性を数式的に表して,それをベースとするアプローチが合理的で常套手段である.ただ,実際的ないろんな状況,たとえば,あまり時間をかけれない,激しく振れる信号を加えれない,など,数式モデルをきちんと求める実験遂行が難しい状況もある.さらに,既に実装してある制御器の性能を保守点検で維持したり,現在既に運転されている制御器よりもさらに性能を向上させる,というように,制御の応答結果をもとにして直接的に制御器の改善をしなければならない,という状況も存在する.
この講義では,これらのような状況に有用な手段となりうるデータ駆動制御―データを直接用いて制御器を設計・更新したりするアプローチの総称―について,前半と後半に分けて講義する.前半では背景から入門的な話題を実応用例を含め説明する.後半では,最新の発展的な話題として,リアルタイムで制御するモデルレスなモデル予測制御,データを直接用いた応答予測,モデリングへの応用,データ同化への応用,そして,つい最近新たに提案した「ERIT」という制御器更新手法についても述べる.とくに,最後の話題は,これまで提案されているVRFTやFRITというようなデータ駆動制御のいくつかのアプローチとは全く異なるコンセプトから出てきた,学部の古典制御の講義でせめて「可」だった人に対してもスライド1枚で説明可能な,「超」がつくほど簡単かつ新しいアプローチである.

第34回ダイナミクスと制御研究会

日時:2018年1月26日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:足立修一先生(慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科)
題名:カルマンフィルタ入門
概要:航空宇宙をはじめとしてさまざまな分野でカルマンフィルタは応用 されています.近年大流行しているAIの世界でもカルマンフィルタはキーテク ノロジーの一つであると言われています.本講義では,高校数学の知識でカル マンフィルタの基礎を理解できるようにお話ししたいと思います.提案されて 60年近くたつカルマンフィルタがなぜ21世紀の「いま」においても脚光を浴びているのか? その理由についてもお話ししたと思います.なお,講義のとき にはノートをとってもらいますので,ノートを必ず持参してください.

第33回ダイナミクスと制御研究会

日時:2018年1月19日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:平田光男先生(宇都宮大学 大学院 工学研究科 電気電子システム工学専攻)
題名:H∞制御とμ設計法による実践ロバスト制御
概要:ロバスト制御の代表的な方法としてH∞制御とμ設計法が知られます.本講義では,これらの制御法を実際の制御対象へ適用できるようになることを目指します.まず,ロバスト制御の考え方を説明し,次にH∞制御とμ設計法の概要を説明します.そして,制御系設計支援ツールであるMATLAB/SimulinkのRobust Control Tooloboxを使って,H∞制御器及びμ制御器を設計する具体的な方法を説明します.最後に,Robust Control Toolboxを活用した,よりアドバンストな制御系設計法について紹介します.

第32回ダイナミクスと制御研究会

日時:2017年2月3日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:青沼仁志先生(北海道大学 電子科学研究所)
講演題目:無脊椎動物の素早い運動と体の仕組み
概要:食う食われるの関係にある自然界では,動物は捕食者から逃れるために素早い動きを進化させましたが,同時に捕食者も素早く逃げる獲物を捕獲するために素早い動きを進化させました.小さな体の節足動物は,身体を構成する骨格や筋肉,そしてそれらを動かす指令塔である神経系を含め,限られた資源やエネルギーしか利用できない中で,筋肉の収縮速度を上回る素早い運動を実現するものがいます.バッタのジャンプ,ヤゴの捕食行動,そしてある種のアリのの捕食行動などがその例です.彼らは,神経や筋肉の働きに加え,骨格の構造をうまく利用した運動を進化させることで超高速運動を実現しています.このような動物が進化させたユニークな運動の仕組みから,この世の中に有り得る設計や制御を見つけてみましょう.

第31回ダイナミクスと制御研究会

日時:2017年1月27日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:小林亮先生(広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻)
講演題目:題目:単細胞が教えてくれること
概要:真正粘菌という動物とも植物ともつかぬ、けったいな生き物がいます。巨大なアメーバ状の単細胞生物なのですが、なんとこの生物には迷路を解く能力があるのです。さらには、ネットワークを設計する能力も。これって、知性!? そもそも、脳も神経も持たない彼らは、どうやってこんな芸当をやってのけるのでしょう。キーワードは、自律分散システムです。自律分散システムとは、全体を統合する中枢なしに、自律的に働く要素の相互作用で、うまく機能するシステムのことです。粘菌は、何億年もの年月を生き延びてきた、究極の自律分散システムです。そんな生き物として大先輩の彼らから、いろんなことを教わってみましょう。

第30回ダイナミクスと制御研究会

日時:2017年1月20日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:石黒章夫先生(東北大学電気通信研究所)
講演題目:動物の生き生きとした振る舞いに内在する制御原理を探る
概要:動物は,身体に有する膨大な自由度を巧みに操りながら,予測不能的に変動する実世界環境にうまく適応しています.このからくりが理解できれば,生物学的にはもちろんのこと,ロボット工学に対しても大いに資することが期待できます.しかしながら,生物制御のからくりを抽出(数理モデリング)する過程では,さまざまな恣意性が入る可能性が否めません.その結果,当該現象をうまく説明できうる「スッキリと本質を掴んだ」数理モデルを構築することは一般に困難を極めるのが現状です.本講義ではまず,四脚動物の脚間協調現象に内在する自律分散制御のからくりの抽出に関するわれわれの事例研究を紹介したいと思います.正直に言いますと,この事例研究はモデリングがたま
たまうまくいき,われわれ自身も当初は想像できなかったようなラッキーな結果がぞろぞろと出つつある研究です.それゆえに,この事例研究には学ぶべきことがたくさん詰まっているはずです.そこで本講義の後半では,この事例研究の成果から得られた,動物の適応的運動機能に内在する制御原理に関するわれわれの新しい仮説を紹介し,さまざまなロコモーション様式の背後にある制御則の設計を試みたいと思います.

第29回ダイナミクスと制御研究会

日時:2017年1月6日(金)10時30分~12時00分
場所:M1棟-313講義室
講師:南裕樹先生(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
講演題目:ノイズシェーピング量子化:アクチュエータの限界を超える制御技術
概要:これまで整備されてきた多くの制御系設計法においては,制御系に含まれる信号が「連続値」であることを仮定している.しかしその一方で,現実の世界では,不連続に動作するアクチュエータの利用によって,信号が「離散値」に制限される場合がある.たとえば,油圧・空気圧制御システムに用いられる電磁弁や温度制御システムのサーモスタットは,ON/OFFのような離散値で駆動する.そのような離散値信号拘束が課せられた制御系の設計において,連続値信号と離散値信号のギャップ(量子化ノイズ)を適切に整形(シェーピング)する技術が重要な役割を果たす.本講義では,まず,従来の制御系設計法の基礎について述べたあと,離散値信号拘束がある場合には,従来の方法での制御系設計が難しいことを説明する.つぎに,離散値制御系を設計する際に役に立つ、制御のためのノイズシェーピング量子化技術「最適動的量子化器」を紹介する.

第28回ダイナミクスと制御研究会

日時:2016年9月29日(木)10時30分~12時00分
場所:M4棟1F 101室
講師:望山洋先生(筑波大学・准教授)
講演題目:ソフトロボットの機構と力学–弾性体の飛び移り座屈を利用した瞬発力発生機構の場合–
概要:弾性体を撓ませて両端にトルクを加えることにより,急激な変形が生じることがある.飛び移り座屈と呼ばれるこの現象が起こる際に,急激な変形に伴う放出エネルギをうまく仕事におきかえることで,この柔軟機構は,極めてシンプルな瞬発力発生装置として機能し,例えば,跳躍ロボットなどに利用することができる.本講演では,ソフトロボットの一例として,弾性体の飛び移り座屈を利用した瞬発力発生機構を紹介するとともに,その力学的な取り扱いについても解説する.

第27回ダイナミクスと制御研究会

日時:2016年1月29日(金) 10時30分~12時00分
場所 M1棟-313講義室
講師:石黒章夫(東北大学電気通信研究所・教授)
題名:動物の生き生きとした振る舞いに内在する制御原理を探る
概要:動物は,身体に有する膨大な自由度を巧みに操りながら,予測不能的に変動する実世界環境にうまく適応しています.このからくりが理解できれば,生物学的にはもちろんのこと,ロボット工学的にも大いに資することが期待できます.しかしながら,生物制御のからくりを抽出(数理モデリング)する過程では,さまざまな恣意性が入る可能性が否めません.その結果,当該現象をうまく説明できうる「スッキリと本質を掴んだ」数理モデルを構築することは一般に困難を極めるのが現状です.本講義ではまず,四脚動物の脚間協調現象に内在する自律分散制御のからくりの抽出に関するわれわれの事例研究を紹介したいと思います.正直に言いますと.この事例研究はモデリングがたまたまうまくいき,われわれ自身も当初は想像できなかったようなラッキーな結果がぞろぞろと出つつある研究です.それゆえに,この事例研究には学ぶべきことがたくさん詰まっているはずです.そこで本講義の後半では,この事例研究の成果から得られた,動物の適応的運動機能に内在する制御原理に関するわれわれの新しい仮説を紹介し,さまざまなロコモーション様式の背後にある制御則の設計を試みたいと思います.

第26回ダイナミクスと制御研究会

日時:2015年12月18日(金) 10時30分~12時00分
場所 M1棟-313講義室
講師:金子修先生(電気通信大学大学院情報理工学研究科・教授)
題名:モデルアウェアなデータ駆動制御
概要:「データ駆動制御」とは,対象から得られたデータを直接用いて制御器の設計や更新を行うアプローチの総称です.近年,実現場での応用事例も現れ始め,短期間での現場の調整が要請される状況や,稼働データの有効活用が望まれる状況などでの一つの活路として認識されつつあります.ただ「データ駆動」といっても,その双対の立場としての(対象の動特性を表す数式)モデルはやはり重要な立ち位置にあり,表裏一体で支え合うものと考えています.ここでは,そのような立場で,一見すると相反する用語にもとれるモデルを意識(Aware:アウェア)したデータ駆動制御についてお話しします.講義では,まず,データ駆動制御の背景と基礎的話題についてお話ししたあと,「モデルと制御の相互関係を解き明かす(かもしれない)データ駆動制御」の最近の試みについて,予備知識のなるべくいらない形でお話します.

第25回ダイナミクスと制御研究会

日時:2015年12月11日(金) 10時30分~12時00分
場所 M1棟-313講義室
講師:井上正樹先生(慶應義塾大学理工学部物理情報工学科・助教)
題名:一コマでわかるシステム同定入門:制御や予測のためのモデリング
概要:本講演では,システム同定の基本的な考え方から,講演者らのシステム同定に関する研究事例までを簡単に紹介する.講演の前半では,制御系設計のためのシステム同定問題を考える.まず,物理法則からではなく,入出力データから統計的にモデルを構築するブラックボックスモデリングの考え方を紹介する.特に,このモデリングの問題をある最適化問題に帰着させる見方を中心に解説する.そして,モデリングの最終目標である制御系設計と関連付けながら,モデリング方法の拡張を行なう.講演の後半では,時系列予測のためのシステム同定問題を考える.時系列データを雑音駆動の動的システムとみなし,そのモデリングの問題を最適化問題に帰着させる.そして,例題を通して,その手順や応用例を紹介する.特に,風力発電や太陽光発電を対象として,発電量の時系列データからモデルを構築する.そして,モデルをもとにした発電量予測をおこない,モデルによらない予測方法よりも予測精度を向上できることを示す.

第24回ダイナミクスと制御研究会

日時:2015年7月1日(水) 15時00分~16時30分
場所 R1棟-212講義室
講師:浜本 研一(鹿島建設株式会社 技術研究所・主任研究員)
題名:次世代建設生産システムの開発 -建設機械の自動化
概要:建設現場では,生産性向上や熟練作業員の減少・高齢化対策が必要とされ現状以上の施工効率を少人数で達成する新しい施工技術として建設機械の自動化が重要な課題である.本報告では,鹿島建設での開発した振動ローラとブルドーザの自動化システムの概要と今後の展望を報告する.

第23回ダイナミクスと制御研究会

日時:2015年1月30日(金)10時30分~12時00分
場所:M1-313講義室
講師:青沼仁志(北海道大学, JST CREST)
題目:動物の適応的な行動の実時間性を創り出すメカニズムの理解を目指して
概要:「適応行動の実時間性」の理解は生物学(神経生理学)と制御工学やロボット工学などの共通な課題である. 人工物制御ではフレーム問題の克服がひとつの重要課題であるが, 生物では,比較的構造が単純な脳をもつ昆虫ですらフレーム問題に捕らわれることなく無限定な環境で行動できる. これは,動物がまわりの環境や経験に応じて柔軟に行動を切替えることができる仕組みを備えているからである. 適応的な行動の実時間性を解明するには, 行動主体にとっての環境の意味を理解し, 知覚された情報が処理され行動発現につながる脳の仕組みや身体の仕組みを解明する必要がある. ニューロロボティクスはそのための有効なアプローチである. 講義では, 昆虫の闘争行動に見られる適応的な行動切替メカニズムについてニューロロボティクスからのアプローチを紹介する.

第22回ダイナミクスと制御研究会

日時: 2015年1月9日(金)10時30分~12時00分
場所: M1-313講義室
講師: 石黒章夫(東北大学, JST CREST)
題目: 生物の適応的運動機能の背後にある制御原理の解明を目指して ~事例研究から学ぶ数理モデリングのツボと注意点~
概要: 生き物は, 身体に有する膨大な自由度を巧みに操りながら, 予測不能的に変動する実世界環境にうまく適応しています.このか らくりが理解できれば, 生物学的にはもちろんのこと, ロボット工学的にも大いに資することが期待できます. しかしながら, 生物制 御のからくりを抽出(数理モデリング)する過程では, さまざまな恣意性が入る可能性が否めません. その結果, 当該現象をうまく説 明できうる「スッキリと本質を掴んだ」数理モデルを構築することは一般に困難を極めます. 本講義では特に, 四脚動物の脚間協調現象に内在する自律分散制御のからくりの抽出に関するわれわれの事例研究を採り上げたいと思います. 正直に言いましょう. この事例 研究は, モデリングがたまたまうまくいき, われわれ自身も当初は想像できなかったようなラッキーな結果がぞろぞろと出つつある研 究です. それゆえに, この事例研究の成果からは学ぶべきことがたくさん詰まっていると思うので, そこから生き物が示す「コト」の モデリングの際のツボと注意点(罠)を, 後付け説明をしながらみなさんと一緒に味わいたいと思います.

第21回ダイナミクスと制御研究会

日時: 2014年12月5日(金)10時30分~12時00分
場所: M1-313講義室
講師: 杉江俊治先生(京都大学)
題目: ループ整形法に基づく制御系設計
概要: フィードバック補償器を系統的に求める手法の一つにH無限大制御がある. その中でもH無限大ループ整形法は, 古典制御的な感覚で設計でき, かつ閉ループ系の安定性を保証する優れたものである. 本講演では,この手法の基礎について述べた後, 2自由度制御と組み合わせた設計例について紹介する.

第20回ダイナミクスと制御研究会

日時:2014年1月31日(金) 10時30分~12時00分
場所:U2-212講義室
講師:石黒章夫先生(東北大学 電気通信研究所)
題目:生物の適応的運動機能の背後にある制御原理の解明を目指して
~事例研究から学ぶ数理モデリングのツボと注意点~
概要:生き物は,身体に有する膨大な自由度を巧みに操りながら,予測不能的に変動する実世界環境にうまく適応しています.このからく りが理解できれば,生物学的にはもちろんのこと,ロボット工学的にも大いに資することが期待できます.しかしながら,生物制御の からくりを抽出(数理モデリング)する過程では,さまざまな恣意性が入る可能性が否めません.その結果,当該現象をうまく説明で きうる「スッキリと本質を掴んだ」数理モデルを構築することは一般に困難を極めます.本講義では特に,四脚動物の脚間協調現象に 内在する自律分散制御のからくりの抽出に関するわれわれの事例研究を採り上げたいと思います.正直に言いましょう.この事例研究 は,モデリングがたまたまうまくいき,われわれ自身も当初は想像できなかったようなラッキーな結果がぞろぞろと出つつある研究で す.それゆえに,この事例研究の成果からは学ぶべきことがたくさん詰まっていると思うので,そこから生き物が示す「コト」のモデ リングの際のツボと注意点(罠)を,後付け説明をしながらみなさんと一緒に味わいたいと思います.

第19回ダイナミクスと制御研究会

日時:2014年1月17日(金) 10時30分~12時00分
場所:M4-101講義室
講師:川谷亮治先生(福井大学大学院 工学研究科 機械工学専攻)
題目:ロバスト制御の基礎と柔軟構造物の振動制御への適用事例の紹介
概要:柔軟構造物の振動制御問題は,実用性の面から重要であることは言うまでもないことですが,ロバスト制御を学習する上でも非常に適した題材といえます。そこで,本講義では,柔軟構造物の振動制御問題を題材として取り上げ,ロバスト制御の必要性から具体的な設計事例までを紹介します。また,設計はH∞制御理論に基づいて行いますが,制御器のもつ構造についても触れたいと思います。

第18回ダイナミクスと制御研究会

日時:2014年1月10日(金) 10時30分~12時00分
場所:U2-212講義室
講師:山本透先生(広島大学大学院 工学研究院 電気電子システム数理部門)
題目:データを診て制御する-セルフチューニング制御からパフォーマンス駆動型制御へ-
概要:プロセス産業を中心とした産業界では,エネルギー問題や環境問題などの制約の中で,生産性の向上,製品の品質向上,さらには生産コストの削減などが強いられ,より一層制御系設計が重要視されると共に,制御システムの高機能化が求められている。とくに,操業条件の変更,原料や環境の変化に伴い,対象とするシステムの特性が変化することが往々にして存在し,たとえ特性変化が起こったとしても,制御システムが安定に稼働し,所望の制御性(生産性)が得られることが望ましい。
この問題を解決する一つの制御手法として,セルフチューニング制御が提案されている。セルフチューニング制御は,オンラインでシステム同定と制御系設計が繰り返されるが,パラメータ同定結果に基づいて,制御パラメータが逐次変更されることは,信頼性の面で問題となり,実装化の大きな障害となっている。このように,理論と実装には大きなギャップが存在しており,少なくとも,各サンプリング毎に制御パラメータを変更するのではなく,必要なときにシステム同定を介して制御パラメータを変更することが必要と考える。すなわち,制御性能を逐次評価し,所望の制御性能が得られている場合は,制御パラメータの変更を行わず,制御性能が劣化した場合にのみ制御パラメータを変更する仕組みが不可欠と考えられる。
一方,制御性能評価法に関する研究が,プロセス制御との関連で定常特性に着目した形で進められ,中には計装メーカによりパッケージ化され商品化されているものもある。しかしながら,制御性能評価と制御系設計とが連携されていないため,制御性能が劣化していると評価されても,どのように制御系を再設計すれば良いか,その指針が与えられていない。 このような現状に鑑み,本講演では,「制御性能評価」と「制御系設計」を統合するアプローチとして,「パフォーマンス駆動型制御」について紹介する。まず,セルフチューニング制御について,モデル規範型適応制御法との比較を通して概説すると共に,その実用例の紹介,ならびに問題点について考察する。その上で,セルフチューニング制御に関連させながらパフォーマンス駆動型制御について詳述し,数値例や実用例を通して,本手法の有効性を検証する。

第17回ダイナミクスと制御研究会

日時:2013年12月13日(金) 10時30分~12時00分
場所:U2-212講義室
講師:田中秀幸先生(広島大学大学院 教育学研究科 科学文化教育学専攻)
題目:状態空間表現に対するシステム同定
概要: 線形状態空間表現に対するシステム同定として,部分空間同定法によるシステム同定を中心に基礎的な講義を行う.まず,モデリングとシステム同定について考え方を述べる.つぎに,システム同定のための入力では,なぜ持続的な励起信号を入力するかについて考え,どのような入力が線形システム同定に向いているかを紹介する.続いて,実現理論の流れを紹介しながら,確定系の部分空間同定法について,状態推定の仕方を中心に紹介する.最後に,実際のシステム同定の手順について実例を上げて紹介する.

第16回ダイナミクスと制御研究会

日時:2013年12月6日(金) 10時30分~12時00分
場所:U2-212講義室
講師:和田光代先生(大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻)
題目:システムの安定論
第15回ダイナミクスと制御研究会
日時:2013年1月25日(金) 10時30分~12時00分
場所:M1-313講義室
講師:板宮 敬悦先生(防衛大学校 電気情報学群 電気電子工学科)
題目:適応制御の概要とロボットアームの適応軌道制御について
概要:適応制御とはどういう制御法で,どんなことができる制御法などといった適応制御の基本について概説し,大幅な負荷変動に対してロバストな制御系を構成する適応制御系の代表例して,ロボットアームの適応軌道制御系の構成法を紹介する.

第14回ダイナミクスと制御研究会

日時:2013年1月18日(金) 10時30分~12時00分
場所:M4-201講義室
講師:今井 純先生(岡山大学大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 電気電子機能開発学講座)
題目:分布定数系モデルの低次元化と制御器設計
概要:制御対象の物理量の空間分布的な振舞いをモデル化したものは分布定数系と呼ばれます. 分布定数系の代表的な数学モデルは偏微分方程式の形をした無限次元系です. 制御系の設計を進めるために低次元の適切な状態空間モデルが必要です. それを 得る方法として本講義では,いわゆる重みつき残差法により偏微分方程式を時間の常微分方程式の問題に変換する方法を取り上げます. この方法は,元の厳密解が存在する関数空間から試行関数が張る線形部分空間へ射影していると解釈できます. この線形部分空間が近似モデ ルの「状態空間」になり.それを厳選することで望ましい低次元モデルが期待できます. 低次元化モデルの近似誤差に関して周波数領域上の誤差上界が判れば,その影響を考慮してロバスト制御理論を適用できます. またその観点から「望ましい低次元モデル」というものを逆 にどのように得られるか考えることもできるでしょう. 優れたモデリングとは対象の本質的な特性を捉えるだけではなく,制御系に要求される仕様が反映されたものでもあるはずです.

第13回ダイナミクスと制御研究会

日時:2013年1月11日(金) 10時30分~12時00分
場所:M1-313講義室
講師:金子 修先生(金沢大学 理工研究域 電子情報学系)
題目:ビヘイビアアプローチの基礎とその制御系設計のとらえ方
概要: Willemsにより提唱されたビヘイビアアプローチとは,システムを,伝達関数や状態方程式のような入力→出力間の関係としてとらえるのではなく,単に動特性に拘束される変数の集合としてとらえることで,従来よりも俯瞰的にシステム制御をとらえることを可能にするアプローチです.ここでは,通常の制御全般の予備知識なしでも理解できるように,さらに,通常の制御のとらえ方に慣れている人にも違和感なく理解できるように,その初歩から説明します.つぎに,このアプローチでの「制御」を二つの軸でお話しします.一つ目の軸は,制御というとらえ方を一般化する方向での軸で,フィードバック制御のみならず,対象の設計までも「制御」としてとらえる点について簡単に説明します.もう一つの軸は,制御しようとする相手を一般化する軸で,ビヘイビアアプローチの「制御」のとらえ方が,線形制御で良く知られたユーラパラメトリゼーションのみならず(昨年この研究会でお話した)制御器チューニング法FRITや,離散事象システムの制御などとの関わりについて説明します.そして今後の展望についてもお話しします.

第12回ダイナミクスと制御研究会

日時:2012年12月14日(金) 10時30分~12時00分
場所:M1-313講義室
講師:平田 光男先生(宇都宮大学電気電子システム工学専攻)
タイトル:モーションコントロールのためのロバスト制御~ロバスト制御を産業応用するために考えたこと
概要:制御理論を実システムへ応用するには,教科書通りの適用では必ずしもうまくゆきません。ロバスト制御の代名詞ともなったH∞制御の場合も然りです。本講義では,H∞制御を産業応用するために考えたいくつかの(小さな)工夫についてお話しします。具体例として,ハードディスク装置のロバスト制御や,自動車のトランスミッションのゲインスケジュールドH∞制御などを紹介する予定です。また,高速高精度な位置決め制御における最近の取り組みについて,フィードフォワード制御のロバスト化といった,いわゆるロバスト制御とは異なった話題についても紹介します。

第11回ダイナミクスと制御研究会

日時:2012年11月6日(火) 10時30分~11時30分
場所:M4棟3F会議室
講師:Dragoslav D. Siljak先生(Santa Clara 大学)
タイトル:Dynamic Graphs

第10回ダイナミクスと制御研究会

日時:2012年7月25日(金) 13時〜15時
講師:土井祐介先生(大阪大学大学院工学研究科知能機能創成工学専攻)
タイトル:非線形格子に出現するエネルギー局在現象
概要:周期構造のダイナミクスを記述する格子モデルにおいては非線形性を無視できない大振幅振動の領域においてエネルギー局在構造(非線形局在モード)が出現することが知られている。本講演ではこの非線形局在モードの基本的な性質および,物理現象との関連について紹介する。

第9回ダイナミクスと制御研究会

大須賀・足立の「制御人–“そもそも”のすゝめ–」

第1回ゲスト:足立 修一先生(慶應義塾大学)
日時:2012年6月15日(金)午後3時~4時30分
場所:M4-101 講義室
司会:大須賀 公一(大阪大学)

こんにちわ,大須賀です.「制御人(せいぎょびと)–“そもそも”のすゝめ–」は毎回,ご活躍中の制御の研究者あるいは技術者をお招きして,対談形式で「制御」 とは何かを深く探って行きたいと思います.その過程で,ゲストの方の研究姿勢やアイデンティティーを明らかにしていきたいと思います.テーマは広い意味の「制御」です.制御理論はもちろんのこと,メカトロニクスの制御技術,教育学的な話題,生き方そのもの,もその範疇です.ゲストの方が”そもそも”なぜ制御にかかわる仕事をしているのか,どこがおもしろいのか,何をしたいのか,究極の夢はなにか,その人を貫いている哲学はなんなのか,を掘り下げて聞いていきます.学会や講演会などでは聞く機会がないような,その方の内面に焦点をあてて話を進めてみたいと思います.
今回は,そのような試みの第1回で,慶応義塾大学の足立修一先生をゲストにお呼びしました.足立先生はシステム同定で有名な先生ですが,なぜ今のようなことをされているのでしょう.このあたりから聞いてみたいと思います.お楽しみに.

第8回ダイナミクスと制御研究会

日時:2012年1月27日(金) 10時30分〜12時00分
講師:池田 建司 先生(徳島大学大学院STS研究部)
タイトル:部分空間同定法の部分空間って何?
概要:対象の数学的モデルがないと、制御系を効率的に設計することはほとんど不可能です。運動方程式などの第一原理に基づいてモデル化できればよいのですが、 実際にはそれも難しい場合が多々あります。そこで、登場するのが システム同定です。部分空間同定法はこの20年ほどの間に急速に発展して きた比較的新しい手法で、最近では実用にも供されるようになりました。 本講演では、部分空間同定法の一種であるMOESP法について、その基本的な 考え方を、なるべく簡単にお話します。

第7回ダイナミクスと制御研究会

日時:2012年1月20日 10時30分~12時00分
講師:平田 健太郎 先生(奈良先端科学技術大学院大学)
演題:システム理論の拡がり -無限次元システム理論と受動歩行の繋がり-
概要:「予想もしなかった展開」に人は当惑しますが,,時としてそれは人を深く魅了します.研究においても然りです.本講演では,まず「無限次元システム理論」というあまり耳なじみのない研究分野をご紹介します.常微分方程式に従う「通常の」動的システムに対する理論を, 数学的により広いクラスに拡張しようとするものです.それが, 一見何の繋がりもなさそうな,(ロボットの)受動歩行の研究とどのような接点を持つのか,ということをお話ししたいと思います.

第6回ダイナミクスと制御研究会

日時:2012年1月6日 10時30分~12時00分
講師:金子 修 先生(金沢大学)
演題:データを直接用いた制御器チューニング法「FRIT」の基礎とそのモデル・制御器の同時獲得への展開
概要: 通常は,制御器を設計する際には数式モデルに立脚して行われるが,データが直接ダイナミクスの情報を含んでいるという点(シーズ)と,PE性の高い同定信号を印加することが困難である場合に対応する点(ニーズ),という観点から,データを直接用いた制御器設計が可能となることも意義があると考えられる.そこで,ここでは,得られたたった一組の実験データを直接用いることで,制御仕様を満たす制御器パラメータチューニング手法「FRIT」の基礎について概説する.さらに,その展開として,むだ時間系のスミス法やIMC, そして,現代制御の代表手法である状態フィードバック+オブザーバに対して,FRITを活用することで,制御器とモデルを同時に獲得する手法についても説明する.

第5回ダイナミクスと制御研究会

日時:2011年12月16日,10時30分~12時
講師:増淵 泉先生(神戸大学)
演題:線形行列不等式を用いた制御系設計
概要: 線形行列不等式(Linear Matrix Inequality, LMI)は,線形システムの様々な性質を定量的に表すことのできる代数不等式である.LMIをツールとして用いて補償器の設計を行う方法は今日では制御系設計の一つの標準的なアプローチになっている.本講演では,LMIによる制御系設計の概要を例題をもとに説明する.

第4回ダイナミクスと制御研究会

日時:2011年12月9日 10時30分~12時
講師:湯村 敬(三菱電機)
演題:産業用移動装置の振動抑制設計のためのモデリング
~支持系と拘束軌道の連関に着目したモデル構築~
概要: “支持系に支持された筐体が拘束軌道に沿って移動する産業用移動装置” に対し,適切な振動抑制設計を行うためのモデル高精度化について述べる. 具体的には,磁気ディスク装置,エレベーター,エスカレーターを例に,この ような移動装置は,支持系と拘束軌道との境界特性が状態に応じて変化し, モデルが不明確な場合が多い.そこで,支持系と拘束軌道のと連関を解明し, 「基本となるモデルに支持系の特性変化を加えたモデルによるモデル精度 向上とこのモデルを用いた振動抑制設計について述べる.

第3回ダイナミクスと制御研究会

日時:2011年12月2日 10時30分~12時00分
講師:足立修一先生(慶應義塾大学)
演題:1時間半でカルマンフィルタを理解したつもりになる
概要:システム制御理論を勉強するときにカルマン教授の名前を避けて通ることはできないでしょう。特に,カルマンフィルタという用語を聞くことがあると思いますが,いざカルマンフィルタを勉強しようと思って本を眺めると,数式ばかりで非常に難解な印象を受けるのではないでしょうか。もちろんきちんとカルマンフィルタを理解するためには,少なくとも2単位分の授業が必要ですが,本講演では,カルマンフィルタの本質を1時間半に凝縮してお話しします。

第2回ダイナミクスと制御研究会

日時:2011年5月6日 午後2時45分~午後4時
講師:坂東麻衣先生(京都大学宇宙ユニット)
演題:ピーナッツ形状小惑星のラグランジュポイントの安定性に関する陰的制御的考察
概要:本研究では,天体力学現象である円制限三体問題におけるラグランジュポイントの安定性の表出を,あえて制御則が内在しているからだという捉え方をする.そのような見方をすることで,天体の運動に対してこれまでとは違った思考が生まれ,新たな展開が期待できると考えられる.そのための第一歩としてここでは, (i) 想定する陰的制御に何等かの意味があるか,(ii) 陰的制御に陽的制御を付加したものに何等かの意味を持たせることができるか,について考察する.

第1回ダイナミクスと制御研究会

日時:2011年3月11日(金) 午後3時~午後5時
講師:北森俊行先生(東京大学名誉教授)
演題:「物理的・工学的実情と整合のとれた制御理論を考える」